情シスは何度でも甦るさ。

VBA!VBA!

アンチアウトソース山崎製パンのITとは

IT Initiative Day 2014.3.11 / IT Service Management Special徹底検証:クラウドとシステム運用

行って来た。

山崎製パンの計算センター 石毛室長 のお話が一番印象的だった。
(元大成建設 CIO木内さんとの対談形式 )

冒頭から、2.14の談合坂でのリアルアンパンマンの話に。

パンを無料で配布したこの出来事は、ネットを中心に美談とされていたが、実際は大雪によりパンをしかるべき場所に配送できなかったため、会社として公式にコメントすることができないと語っていた。

このアウトソースが当たり前になった世の中で、自社で2000台のトラックを持つ物流部門を抱えることからわかる通り、アウトソースは極力やらない「自前主義」を徹底する。それは、ITについても、同じ。今でもパブリッククラウドには興味がない。
しかし、平成に入ってから時流にのってアウトソースの方針を取った時期があり、270名いたシステム部門は、70名まで減ってしまった。
しかし、そこで起こったのは、ITのスピード低下。
経営のスピードにITが全くついていけなくなってしまった。要件定義ができる人材もいなくなってしまった。
そのため、方針を変更し、再び内製へと舵を切った。
今は、100名。このまま120名まで増員したいとのことだった。
この方針転換に対して、上層部はおおむね賛成。「自前でやるのは当たり前だ」と強く賛同する方もいた。


感想:
この徹底した自前主義は凄い。ただ、一番凄いのは、その自前主義のためにコストをかけても、ビジネスが回ること。


他にも、色々面白い話しがあったので箇条書き。

  • ランチパックは震災前のピーク時に、110種類。今は50種類くらい。1日に110万個製造。秋葉原にランチパック専門店があるがそこで大体買えるから、好きな人は行ってみて
  • 1980年にできた基幹システムが未だに動いているが、当時の担当者達の退職が目前に控えているので、その人たちが退職する前に基幹システムをリプレースしなければならない
  • デイリーヤマザキのシステムを立ち上げる際に、夜を徹して仕事をしていた。その際、工場から、中華マンの蒸し器をオフィスに取り寄せ、その場で蒸して社員や協力会社に、振る舞った。
  • OracleのExadataの国内第一ユーザーになる予定だったが、土壇場でOracleが直販しかしないと言って来て大揉めになり、結局4番目のユーザーだった。
  • 春のパン祭りは、毎年2/1から始まるが、前日の1/31から発注量が大幅に増える。1/31には、システムが起動する5時には営業担当者がほぼ全員出社して受注を打ち込み、システムの負荷のピークが朝の6時
  • 部門の名前が、『計算センター』昭和の香りがする
  • 課長は、部下の誰よりも朝早く来て、部下の誰よりも遅く帰るべき。フラットな組織なんかいらない。技術は、先輩から後輩に伝えなければならない。
  • 受注データ380万件/日
  • 受注から24時間以内に出荷
  • 今の商品数は、約1600アイテム。しかし、関東の1工場では最大520アイテムしか製造できないので、工場間で発注を回したりして調整する
  • 受注は様々なチャネルがあるが、電子化されてない部分で誤発注が出る時があり、リカバリが大変
  • コンビニはギリギリのタイミングで発注してくるから製造が大変
  • 紙伝票は100万枚以上あり、だいぶ電子化を進めたが、未だに21万枚印刷してる。10万以下すればコストがぐっと下がるが難しい


その他のセッション
ITサービスマネジメント実践の秘訣』東京海上日動システムズ事例

  • オープン化してサーバを導入しまくった後あたりから障害が多発
  • 特にシステム変更時に大量発生
  • 運用にコストをかけて、徹底的に運用プロセスを整備
  • 設計フェーズから、運用部門がアサインされ設計をチェック
  • 700以上のチェック項目からなる、チェックリストを使い工程ごとにチェック実施
  • DevOpsの考え方で、開発運用を毎年ジョブローテして、交流を促進

感想:愚直に正攻法で運用プロセスを見直したのは凄い。でも、普通運用にそこまでコストかけれる会社は少ないのではというのが正直な感想

『ハイブリッドクラウド時代におけるITの進化のポイントとは〜手動から自動化へ、そして新たな価値を生み出すITへ〜』日立製作所

  • 仮想化導入後、管理コストは上がっている。
  • 主に、運用部門のスキル不足が原因
  • 見える化→標準化→自動化 というプロセスが正攻法だが、見える化⇒自動化 というプロセスで進めた方が現実的
  • \ JP1!JP1! /


『「所有」から「利用」への変化における運用のすがた』株式会社野村総合研究所

  • プロセスは、見える化⇒標準化⇒自動化
  • 変更管理【手戻り防止八カ条】
    1. 事前に成果物を合意すべし。
    2. 工程間の「開始基準/完了基準」はデジタルに定義すべし。
    3. 受け渡し・受入後の進捗・成果物はデジタルに可視化すべし。
    4. 実運営に耐えうる役割分担で体制を構築し、確認し合うべし。
    5. 「初めての時」「変わった時」は注意信号のキーワード。
    6. 「現行どおり」は要件でも仕様でもない。NGワードである。
    7. レビューは、品質特性の視点を持って網羅的に行うべし。
    8. 工程飛ばしと効率化は違う、工程は縮めても飛ばすなかれ。
  • 変更管理の7つのR
    1. 変更を「提起(Raised)」したのは誰か?
    2. 変更の「理由(Reason)」は何か?
    3. 変更に求められる「見返り(Return)」は何か?
    4. 変更に伴う「リスク(Risk)」は何か?
    5. 変更を行うために必要な「リソース(Resource)」は何か?
    6. 変更の構築、テスト、実施の「責任者(Responsible)」は誰か?
    7. この変更と他の変更との「関係(Relationship)」は何か?
  • \ SENJU! SENJU! /